地域振興事業

観光コンテンツ開発

観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2023年の訪日旅行消費額は初の5兆円を突破し過去最高を記録しました。また日本政府観光局(JNTO)による訪日外客統計では同年の訪日外客数は2,500万人を超え、まもなくコロナ禍以前の水準を取り戻すことが予想されます。観光立国推進基本法において、観光は我が国の力強い経済を取り戻すための極めて重要な成長分野と位置付けられており、世界の観光需要を取り込むことによって、地域活性化、雇用機会の増大などの波及効果、諸外国との相互理解の増進も期待できるとされています。

百十四経済研究では地域活性化と産業振興の観点から観光に着目し、整備が遅れていたインバウンド向けの観光コンテンツ開発に取り組んできました。2019年にJNTOの「Enjoy my Japan グローバルキャンペーン」に活用できる新たな滞在型コンテンツ等の創出を目的とした事業(「訪日グローバルキャンペーンに対応した四国遍路滞在型コンテンツ開発事業」四国運輸局)に採択されたことを契機に、以降さまざまな観光事業に参画しています。

事業毎に四国各地の自治体、観光協会、DMO、寺社仏閣、観光施設、民間事業者、専門家らとチームを組み、四国の魅力的な観光資源が外国人の心にも届くようブラッシュアップし、充実した旅程を確保できるコーディネータやストーリーを語れる通訳ガイドを育成するなど、地域一丸となって持続可能で高付加価値な観光コンテンツの造成を行っています。

四国遍路の受入環境整備

世界的なトレイルブームを背景に国内外から四国遍路への来訪者が増加する一方で、沿道地域では過疎化・高齢化が進行し、宿泊・飲食施設の休廃業、ボランティア人材の減少等、サービス提供体制は後退しています。すでに一部地域ではオーバーツーリズムから住民や自然環境に悪影響も出始めており、現状に即した旅行者への情報提供と、地元への配慮を求める声は年々大きくなっています。

百十四経済研究所では、2021年より3年間、四国運輸局の委託を受けて「遍路道情報センター」を運営し、外国人旅行者の受入環境整備に取り組んできました。これまでに、四国遍路域内の情報収集と整理、英語ウェブサイトからの情報発信、海外在住者向けのプロモーション、旅ナカのオンラインサポート、QRコードによる八十八カ寺での多言語情報提供、デジタル技術を活用した外国人旅行者の動態調査など様々な施策を実施。受入地としての基盤づくりに貢献しました。

四国八十八カ所霊場会、自治体、DMO、民間事業者、ボランティア団体、学識者など多くの関係者と協働し、意見を取りまとめ、2024年2月には「四国遍路シンポジウム」を開催。関係者が一堂に会し、現状認識と将来像を共有することができました。今後も、四国遍路文化の維持継承と地域の発展のため、取り組みを続けていきます。